130.株式の相続人の会社に対する影響力を規制するには？ その２

前回記事の続きとなります。

前回記事
129.株式の相続人の会社に対する影響力を規制するには？

株式の所有者が死亡すると、相続により相続人が新たな所有者になります。
会社が譲渡制限会社であっても、相続を制限することは出来ません。

これを防止するには「相続人等一般承継者に対して、会社が株式の売り渡し請求ができる」という規定を設ければよいのですが、この規定は充分検討した上で設定する必要があります。

例えば、自分と父親、それと第三者の３人が株主及び役員になっている会社があったとします。（譲渡制限会社）
第三者が死亡した場合に、その相続人が会社に影響力を持たないように定款変更をして当該規定を設置したとします。

第三者が死亡した場合、会社は相続人に売り渡し請求をすることが出来ますので、相続人を株主から排除することが出来ます。ここはメリットと言える部分です。

これが自分の父親が死亡した場合はどうでしょう。
父親の株式について、会社に売り渡し請求をされてしまうと、大きく会社支配が変わる可能性があります。父親の所有株式の比率にもよりますが、自分と父親の株式比率で会社を支配していた場合などは、支配権を失うこともあるでしょう。
これがデメリットですが、これは取締役の構成によっても結論が違ってきます。

この様に相続人への売り渡し請求が出来ることの規定は、メリットもデメリットもある規定ですので、設置の際には充分な検討が必要でしょう。

司法書士　大竹弘幸